Block House

exhibition

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iphone mural

2016年10月28日 > 2016年10月31日
exhibition
開催概要

タイトル:iphone mural(iPhoneの洞窟壁画)
会期:2016年10月28日16:00より10月31日6:00まで
会場:BLOCK HOUSE B1F

企画・配置:布施琳太郎
メインビジュアル:rei nakanishi

出展作家

<iPhone>
布施琳太郎
rei nakanishi

<説明のない匂い>
urauny
ぼく脳
海野林太郎
國冨太陽

<ι δ έ α>
香月恵介
都築拓磨
山形一生
ナクヤムパンリエッタ

<無限の無>
磯村暖
鐘ケ江歓一
庄島明源


世界は、謎めいた、理解できないものとして、われわれに与えられた。美術の任務は、もし可能なら、世界をもっと謎めいた、より理解できないものにすることである。

は、現代の錯乱した「現実」について、洞窟壁画を通して考える中で用意された企画である。旧石器時代からの超時間的な断絶を経て、新しいバージョンの自然として「現実」は現前した。実際、あの化石的絵画の自然との向き合い方は、近代のパースペクティブを逸脱しており、最も知的な現代アートのパラレルな可能性であるとさえ言うことができるだろう。そこで本展では洞窟壁画のパラレルな可能性を提示する。

現代の土台、状況を考える上で決して見逃すことができない美術展となることは間違いない。総勢13名の作家/4つの展覧会によって描きだされる、現代の洞窟壁画をご高覧ください。


コンセプト

今回、ボクはiPhoneというメタファーを用意し、世界とiPhoneの錯乱した関係を扱います。世界とはすべての事実の集合を意味する語です。しかしこの10年の間、iPhoneもまたすべての事実をインストールしてしまおうと、世界そのものに成り代わろうとしてきました。ですがiPhoneという事実は世界の中にあります。世界とiPhoneは、そのメタな位置を奪い合う流動的な入れ子構造——つまりは「現実」——を形成しています。

世界という集合は、iPhoneによって離散的に解体されると同時に、その部分は組み替えられ続けるアナグラムのように、織り込まれた状態を獲得してしまったのです。世界はリニア(直線的)なヴァーチャルから、錯乱した「現実」へと移行してしまったのです。iPhoneと世界によって描かれる流動的な入れ子構造は謎めいた形態を、形のない形(exform)をしています。近代を超えて、旧石器時代からの超時間的な断絶を経て、「現実」は新しいバージョンの自然として現前したのです。

たしかに、旧石器時代の人々の選択は効率的でした。彼らが表現の支持体として選んだ洞窟は、人間が介入する前から謎めいた形態をしています。彼らはうねりの中にある無数の襞(ひだ)や亀裂を線描で反復し、その線を淘汰・変容させる中で、自然をイメージに移行させました。洞窟壁画におけるうねった空間と定着されたイメージの関係は、現代の「現実」さえも表象しているようですらあります。

しかし旧石器時代の自然と現代における「現実」は、謎めいているという面で似てはいますが、その成り立ちや構造はかなり異なるものです。そこでこのプログラムでは、別の方法が試みられます。この企画は4つの独立した展覧会によって構成されています。iPhoneによって世界がされたのと同じように、これらの展覧会は離散的に解体され、ひとつの洞窟に織り込まれていきます。ここで試みられるのは「現実」の反復です。反復することで「現実」はイメージへと淘汰・変容させられ、各作品は新しい「現実」の中で転生することでしょう。

テキスト 布施琳太郎
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