Block House

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太田光海監督作品『カナルタ 螺旋状の夢』試写上映会+トーク

2021年07月30日 > 2021年07月30日
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日時:2021年7月30日(金)19時30分(19時00分開場)
会場:BLOCK HOUSE B1F 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-12-9
定員:先着20名(作品初見の方を優先)
入場料:1000円(クラウドファンディング支援者は無料)
試写申込先:kanarta.contact@gmail.com


セバスティアンとパストーラは、エクアドル南部アマゾン熱帯雨林に住むシュアール族。かつて首狩り族として恐れられたシュアール族は、スペインによる植民地化後も武力征服されたことがない民族として知られる。口噛み酒を飲み交わしながら日々森に分け入り、生活の糧を得る一方で、彼らはアヤワスカをはじめとする覚醒植物がもたらす「ヴィジョン」や、自ら発見した薬草によって、柔軟に世界を把握していく。変化し続ける森との関係の中で、自己の存在を新たに紡ぎだしながら。しかし、ある日彼らに試練が訪れる...。

監督:太田光海|2020年|イギリス・日本|DCP|カラー|ステレオ|121分|シュアール語・スペイン語(日本語字幕)

予告編:https://vimeo.com/468427730


 『カナルタ 螺旋状の夢』(2020年・日英合作)は、映像作家・文化人類学者の太田光海がエクアドル南部アマゾン熱帯雨林に住むシュアール族のもとで1年間にわたる住み込み撮影を行い、制作したドキュメンタリー映画です。マンチェスター大学映像人類学部博士課程在籍時に卒業作品として制作された本作は、最新の文化人類学的知見を土台にしながらも、アートフィルム、実験映像、さらにはサウンドアートといった幅広い表現からインスピレーションを得た野心的アプローチを提示しています。これまでのドキュメンタリー映画や文化人類学という学問の前提をラディカルに問い直しながら、鮮烈な質感とともに鑑賞者をアマゾン熱帯雨林の先住民世界に接続します。

 アマゾン熱帯雨林に住む先住民たちは、ヨーロッパによる南米の植民地化以降、現代に至るまでエキゾティシズムを伴った好奇の目にさらされてきました。彼らの豊穣な知識や世界観は、理解不能な存在としての「他者」、もしくは理解のために「翻訳」が必要な存在として、形式化したナラティヴに押し込められてきました。そのようなイメージが何世紀にも渡って繰り返し焼き直されることで、結果的に森の外側に住む人間たちの想像力すらも矮小化してきたと言えます。

 本作は、シュアール族の「理想化された姿」を提示することも、彼らの世界観をことさらに説明することもしません。むしろ、本作が提示しているのは、彼らの世界を私たちが見つめる「視点」を五感のレベルで組み替えることです。太田光海による浮遊感あふれるカメラワークや、遠近感を強調した独特のカットの往復、そしてディテールに対する観察眼によって、今まで誰も目撃したことのないアマゾン先住民の生が描き出されていきます。そこに映るのは、変わりゆく環境や社会の中で、今も森の中で自らの生き方を創造的に編み出していく彼らの姿であり、人間を越えた存在としての、森そのものであるとも言えます。

 世界各国の映画祭で受賞歴があり、2021年10月2日(土)から東京・イメージフォーラム を皮切りに全国で順次公開される本作を、いち早く鑑賞する機会です。
 
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